新しい世界を予感するための豊かな実体験の場! ヨコハマトリエンナーレ2020が7/17(金)開幕

横浜美術館ほか

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3年に1度開催される現代美術の祭典「ヨコハマトリエンナーレ2020」が7月17日(金)、横浜美術館とプロット48の2会場で開幕します。 開幕に先駆け、6月22日(月)に行われたオンライン記者会見の様子をレポートします! #ヨコトリ #横浜トリエンナーレ #ヨコハマトリエンナーレ #横浜美術館 #現代アート #美術館巡り

コロナ渦で開催する大きな挑戦

横浜トリエンナーレは3年に1度開催される現代美術の国際展として2001年にスタート。まもなく20年の節目を迎え、第7回展となる今回、はじめて海外からアーティスティック・ディレクターを招聘し、国際的に活躍しているインドの3人組アーティスト集団「ラクス・メディア・コレクティヴ(以下、ラクス)」が務めます。タイトルは「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」。 今回のヨコハマトリエンナーレには、30以上の国や地域で活動する60人(組)以上のアーティストたちが参加します。新型コロナウイルスの影響で、ラクスをはじめ、海外のアーティストたちが来日できないなか、開催を決めた意義について、横浜トリエンナーレ組織委員会副委員長・逢坂恵理子氏は次のように説明しています。 「(コロナ禍において)多くの文化施設がオンラインで様々な情報発信や美術作品を公開して、その可能性を広げてきました。しかし、生身の人間が会場を訪れ、その場で作品に向き合い、考えるという実体験が最も大切であり、それが人間のバランスを取り戻すのだと思います。世界の美術展に先駆け、その実体験の場を提供したい」。 新型コロナウイルスの影響で、国内外でビエンナーレ、トリエンナーレといった国際美術展の中止が相次ぐ中、「世界で最も早い開催」なのだそう。 また、「(本展のために)長い間準備してきたアーティストの制作活動を止めずに、支援するという意味でも開催する意義がある」と逢坂氏は説明していました。 海外からアーティストが来日できない状況で、オンライン会議や写真のやり取りを重ね、設営や開催に向けた準備を進める今回のトリエンナーレは大きな挑戦でもあります。

横浜トリエンナーレ組織委員会副委員長・逢坂恵理子氏(左)と同副委員長・蔵屋美香氏(右)※オンライン記者会見にて
横浜トリエンナーレ組織委員会副委員長・逢坂恵理子氏(左)と同副委員長・蔵屋美香氏(右)※オンライン記者会見にて

5つのキーワード

ラクスは、展示の鍵となる重要な5つのキーワードを挙げています。これは、新型コロナウイルス感染拡大という未だかつてない大きな困難に直面した今だからこそ、考えたいテーマが詰まっています。 1:「独学」自らたくましく学ぶ 2:「発光」学んで得た光を遠くまで投げかける 3:「友情」光の中で友情を育む 4:「ケア」互いを慈しむ 5:「毒」世界に否応なく存在する毒と共存する これらのキーワードは、昨年11月に発表された5つのテキストからなる「ソース」から導き出されたものですが、いずれも新型コロナウイルス流行下の私たちの経験を予見するかのような内容です。 「特に『毒』との共存という考え方は、コロナ後の世界を生きざるを得ない私たちにとって示唆的です。」と、横浜トリエンナーレ組織委員会副委員長であり横浜美術館館長の蔵屋美香氏は述べていました。

展覧会の楽しみ方-「不思議」「分からない」を避けないで

本展の楽しみ方について、蔵屋氏はこう説明します。 「ラクスたちは『わかりやすい』という風潮に疑いを持っています。会場での解説は詩のような言葉が書いてあるだけ。不親切だが、たくさん情報を与えられてしまうとそれに縛られてしまいます。『不思議』『分からない』を避けないで、心を自由に広げていきましょう。会場には体を使って楽しむ作品もあるので、体をつかって自由に考え方を広げて作品を楽しんでほしい」。

ニック・ケイヴ 《回転する森》2016 © Nick Cave, Courtesy of the artist and Jack Shainman Gallery Photo by James Prinz
ニック・ケイヴ 《回転する森》2016 © Nick Cave, Courtesy of the artist and Jack Shainman Gallery Photo by James Prinz
レーヌカ・ラジーヴ 《サイボーグは敏感》 2020 © Renuka Rajiv
レーヌカ・ラジーヴ 《サイボーグは敏感》 2020 © Renuka Rajiv

本展の見どころ作家・作品紹介

会見では注目の4作家・作品が紹介されました。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ニック・ケイヴ ≪回転する森≫ ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 横浜美術館の吹き抜けのホールに園芸用の飾りであるガーデンスピナーが展示されています。宇宙のビックバンに紛れ込んだような作品で、きらきらした美しいものをよく見ると、銃のような怖いモチーフのものが混ざっています。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ インゲラ・イルマン ≪ジャイアント・ホグウィード≫ ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ もとは観賞用として持ち込まれた「ジャイアント・ホグウィード」は日光のような紫外線に晒されると、日光のエネルギーを吸収し、人間の皮膚に深刻な被害を与える毒をつくってしまう植物です。 大きな植物の作品を歩き回りながら鑑賞し、毒との共生、毒は美しいのだということを体験してもらいたい作品。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ レーヌカ・ラジーヴ ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 本作家の作品は細かい線でたくさん描かれているのが特徴です。装飾文様が重なり合ってつくられており、絡み合って生きていく世界を表しています。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ エヴァ・ファブレガス ≪ポンピング≫ ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 柔らかい素材で彫刻をつくる作家です。健康器具などに着想を得る作家ですが、ラクスはこの≪ポンピング≫という作品の形状は腸に似ていると感じたのだそう。「腸は内臓だが、腸の中には無数の菌が住んでいる。自分一人のものだと思っていたものが実は何万もの別の生きものと生きていく場所であり、内側にあるものと思っていたら外側に開かれたものであった、という面白さを楽しんでほしい」。 1つの作品を見たら、目の前の作品からまた別のものを想像して楽しんでほしい、と蔵屋氏は付け加えます。 なお、本展を紐解く『ソースブック』が公式サイトにて公開されているので、トリエンナーレを訪れる前後に読むことをおすすめします。 ★ソースブックのダウンロードはこちらから:https://www.yokohamatriennale.jp/2020/concept/sources/ 会場を実際に訪れ、その場で作品に向き合い、考えるという実体験を楽しむ機会。 皆さんも是非、体験してみてください!

インゲラ・イルマン 《ジャイアント・ホグウィード》(部分) 2016/2020 Photo by Sebastian Dahlqvist
インゲラ・イルマン 《ジャイアント・ホグウィード》(部分) 2016/2020 Photo by Sebastian Dahlqvist
エヴァ・ファブレガス 《ポンピング》2019
エヴァ・ファブレガス 《ポンピング》2019

ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」開催概要

【会期】 2020年7月17日(金)〜10月11日(日) 【休場日】 木曜日(7/23、8/13、10/8を除く) 【開場時間】10:00-18:00 ※10/2(金)3(土)8(木)9(金)10(土)は21:00まで開場 ※会期最終日10/11(日)は20:00まで開場 【会場】横浜美術館(横浜市西区みなとみらい 3-4-1)/プロット48(横浜市西区みなとみらい 4-3-1) 【料金】一般2,000円/大学・専門学校生1,200円/高校生800円/中学生以下無料(事前予約不要) ※ヨコハマトリエンナーレ2020は日時指定の予約制です。

ラクス・メディア・コレクティヴ 撮影:加藤甫 写真提供:横浜トリエンナーレ組織委員会
ラクス・メディア・コレクティヴ 撮影:加藤甫 写真提供:横浜トリエンナーレ組織委員会

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ヨコハマトリエンナーレ2020公式サイト

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新型コロナウイルス感染症対策について

横浜の南部に生まれ、現在は横浜の北部に住むヨコハマ人です。

お気に入りのスポットは大さん橋と海の公園。

現代アートや音楽が好きで、趣味は美術館めぐりとパン屋・カフェめぐり。
美味しいパンとコーヒーをもとめ、探索中です。

3歳のやんちゃボーイの母でもあり、家族で楽しめる横浜情報などもお伝えしていけたら思います。

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